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中国経済の未来10年後 11の起こる事

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先日中国のニュースを見ていたら今後の中国未来10年間で起こる事という記事があったので、内容を紹介しながら私の考えを書いてみたい。過去10年間で中国は大きく変わってきたが、今後の10年間ではもっと大きな変化が起きると考えている。しかし、その変化で日本に何か問題が発生するかといえばそんなことはなく、中国の発展と変化は日本のチャンスと見るべきである。

 

GDPは鈍化し平均5%程度の緩やかな成長に

 

もはや過去のような大きな成長を望むことは出来ない。今後どんどん成長率は落ちていく。

 

中国の場合、GDPに最も大きな影響を与える要因の1つが住宅価格である。不動産市場は国民の所得にはほとんど影響を及ぼさないが、消費には影響を及ぼす。住宅価格が下落すると、所得には影響はないが、支出は大きく減る可能性がある。また、不動産バブルが大きく弾ける可能性は小さいものの、バブルが弾けると経済に大きな影響が発生する。

 

2019年は6%以上の成長を維持するであろうが、来年以降5%を維持できるかは、米中戦争にも大きく影響される可能性が高い。

 

 

人件費が引き続き増加

 

経済成長に伴い、賃金は引き続き増加する。賃金上昇は経済成長を証明する重要なサインであり、人件費が伸びるのは本来的には非常に喜ばしい事である。

 

しかしながら、人件費の増大は企業利益の現象と商品価格の上昇につながる。一般的に、商品価格の上昇は収入の伸びよりも高くなる。例えば、報酬が5%上昇するたびに商品価格は10%上昇する、というように。

 

しかし、多くの工業商品にとって、商品は値上げは簡単ではなく、企業は結局は利益を希薄化するしかない。この人件費高騰と経済発展の二つの課題をいかに解決するか、今後中国が直面する大きな課題である。

 

人工知能と自動化による失業問題

 

人工知能と自動化は今後、10年で強いインパクトを持つ。30年前ならあまり影響はなかったかもしれないが、テクノロジーが急速に進歩している今、その影響は格段に大きくなる。

 

中国は人工知能の応用と自動化の余地が非常に大きいと言われており、特に人口が多いため自動化とAIによる就職危機の可能性が高まってくる。単純な人工知能は就職に影響しないかもしれないが、人工知能が産業の自動化と結びついたときに雇用の危機が発生すると言われている。

 

雇用の最大の敵、それこそが自動化である。しかし、逆に企業側から見てみると生き残るための唯一の道こそが自動化である。昔は、1万平方メートルの工場に、少なくとも数百人、あるいは数千人の労働者がいた。しかし、現在では、数人のエンジニアで大規模な工場の運転と生産を管理できるインテリジェントオートメーション工場が増えている。

 

一番簡単な道路掃除でさえも昔は数百メートルごとに清掃員がいたが、現在では1人のドライバーが1台の全自動掃除車で10数通りの道路を掃除しているのである。

 

インターネット分野の細分化が進む

 

過去10年間はインターネット応用分野の発展が最も早かった10年間であり、今後10年は更にインターネットの発展が速い10年間である。

 

インターネットの”発展”と”応用”は完全に二つの概念である。インターネットの応用分野が広くなるにつれて、より洗練された発展が求められている。今後、小規模で洗練されたインターネット新興企業がどんどん出現し、経済規模も大きくなっていくだろう。これはインターネットの巨人の独占に挑戦する一大勢力だ。

 

現在インターネット経済はいくつかの大手に独占されているが、インターネット分野がさらに細分化されればどの大手も細分化し発展した分野を独占できなくなることにある。その時こそ、インターネットの零細企業どんどん創業する時である。

 

この概念は非常に分かりにくいのであるが、米国企業に独占されていたインターネットの中で特に中国は独自の発展を遂げてきた。今や、キャッシュレス決裁やEコマースなどでは中国が最先端をいっているわけであるが、このように個別分野で中国の企業がどんどん創業し、世界の覇権を狙う企業も出てくるという予測である。

 

観光業とサービス業は引き続き急速に発展

 

観光とサービスの業界は引き続き急速に発展し、第三次産業と文化関連の産業が急速に発展する。中国はどんどん豊かになり、「モノからコト」、「物質的な豊かさから精神的な豊かさ」へとどんどんニーズが映っている。これは日本企業にとっては大きなチャンスとなる。

 

また、中国のマナーが国際化され、サービスが上がれば日本人観光客がかつてのように中国に大量に訪れる日もまた来るであろう。

 

人口問題の深刻化

 

高齢化問題はますます顕在化する。今後20年間は、中国の歴史上、最も高齢化が進む20年であり、発生する様々な社会課題を解決するには数10年を要する可能性もある。

 

年金・医療問題の社会的矛盾はますます大きくなるが、これはこの2つの分野は国家によりコントロールされており、今後いかに民間の参入を促進するかが解決のカギになりそうである。

 

教育改革が進む

 

今後10年間で、教育への投資、あるいは教育産業の伸長が急速に進む可能性がある。特に、この教育分野へのITやAIの活用が大いに進むと考えられる。

 

すでに、中国では学校への投稿を顔認証で管理するなどの試験が始まっているが、学習効率を高めるためのAIの活用などが他の国より大いに進む可能性がある。

 

 

オリジナル経済の急速な発展

 

中国企業の知的所有権に対する意識はすでに大変強くなっており、特にインターネット領域の企業などでは強く意識されている。

 

特に中国では人件費がどんどん高くなり、製品価格を値上げできる唯一の理由が”イノベーション”になってきているからである。

 

このオリジナルな商品や市場を作る事が出来ない企業は競争の激しい中国で生き残っていくことが出来ない。例えば、家電ではIoT化を進めている小米が著しい成長をしているが、伝統的なビジネスモデルを維持した日系電機メーカーのほとんどは中国市場では淘汰されてしまった。

 

民営企業の活力が強くなる

 

国営企業の改革がなかなか進まない中国ではあるが、特にハイテク産業、新型経済産業、インターネット分野などの非伝統的領域では、民間企業がどんどん強くなっていく。

 

これらの分野は国営企業である中央企業が独占できない分野であり、ほぼすべてが民間企業により牽引されていく。今後、これらの分野では、中国の民間企業が全世界の業界をリードする役割を担うことも多くなってくる。

 

年金問題が深刻化する

 

インフレと少子高齢化に伴い、年金の不足はますます大きくなり、現在の社会保障の割合だけでは、不足分を補うことが出来なくなってくる。

 

今後10年間、年金の格差は拡大し続けるが、この問題を解決するのは難しく、最終的には国家による負担=国民負担で補うしかなくなる。

 

不動産問題の発生

 

短期的に不動産バブルが大きく崩壊することは無いかも知れないが、中・長期的に見ると中国の不動産問題は非常に大きい。

 

これまでの伝統的な観念により多くの人が家を所有しており、また、不動産価格が急激にあがってきたこともあり、多くの人が2軒以上の家を所有している。しかし、これらの家は現在、引退している世代が亡くなると大量に放出されることが予想される。

 

そして、少子高齢化により、その放出された家を買う人が居なくなる。今、日本で起きている”空き家”問題が中国でも必ず発生する。

 

まとめ

 

以上、中国の未来10年で発生する事を見てきたが、GDP世界一に向けて邁進する中国にも様々な光と影がある。日本のマスコミは悪い面ばかりを強調するきらいがあるが、良い面もたくさんあり、冷静な分析が必要である。

 

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