中国湖北省武漢市で2019年12月に発生した新型コロナウィルス肺炎(COVID19)の発生の経緯を時系列でまとめました。その時期に話題になった主なトピックスも入れていますのでご参考下さい。かなり詳しく入れているつもりですが、トピックスなどの情報を頂ければ追加していきます。また、情報は適時追加していきます。
2019年12月 武漢で謎の肺炎の流行が開始
12月8日~
- 原因不明の肺炎が中国・武漢で発生
- 12月下旬頃には、すでに市内の複数の病院には、発熱などの症状を訴える市民が多数詰めかけていたとの目撃証言有り
12月30日
- 武漢市中心医院に勤務していた李文亮医師が「華南海鮮市場で7人のSARS感染者が確認された」とSNSで報告。もともとは仲間内のWechatで伝えたものが流出し、のちに大ごとに
- 武漢市衛生健康委員会が、海鮮市場で謎の肺炎患者が続出しているとして情報収集を呼びかける通達を発出。この文章はネットに流出し、中国メディアの第一財形が12月8日に発生していた肺炎患者が海鮮市場の出店者であったことを伝えると新型肺炎の事が民衆に広く知られるようになった
2020年1月 新型コロナウイルスの存在が明らかに
1月1日
- 武漢市が感染源とみられる武漢華南海鮮市場の閉鎖を決定
- 感染源は、この市場で海鮮以外に売られていた野生動物の肉(中国語では野生動物の肉を使った料理を”野味”という)ではないかとい言われる。特に、雲南キクガシラコウモリの存在するRaTG13コロナウイルスが新型コロナウイルスとDNA配列が96%一致するため、感染源はコウモリではないかと入れている
- 武漢公安当局が「デマを流した」として8人を摘発したと公表(この中に李文亮医師は含まれていなかったよう)
1月3日
- 李文亮医師が武漢市公安局武昌区分局の中南路派出所に呼び出され、懲戒書への署名を求められ、訓戒処分を下された
1月7日
中央政府で会議が開かれ、習近平国家主席が肺炎の感染拡大策を要求したとされている(2月16日発行の共産党理論誌「求是」)
1月9日
- 原因不明の肺炎について「新型のコロナウィルス」によるものと発表(中国政府)
- 新型コロナウィルスによる初の死者が発生(呼吸不全による心停止)
- この頃から、武漢には中国で唯一、世界で最も危険な病原体(バイオセイフティーレベル4)を扱うラボ(研究所)があり、軍隊が開発していたウィルス兵器が流出したのでは?というような噂が中国や世界のネットで多く流れる
1月12日
- 李文亮医師が肺炎により入院
1月13日
- タイで中国外初の感染者が発生(武漢からの中国人旅行者)
1月14日
- 世界保健機関(WHO)が「人から人への感染は確認されていない」との見解
1月15日
- 2人目の死者が発生(武漢市発表)
1月16日
- 【日本】首相官邸危機管理センターに情報連絡室を設置
- 【日本】初の感染者が発生(神奈川県の30代、武漢への渡航歴あり)
1月18日
- 中国政府の公式感染者数が500人弱の段階で、BBCがすでに1700人以上が感染している可能性があると報道し大きな話題に
1月20日
- 国務院(中央政府)の常務会議が開かれて、この肺炎をBクラスの伝染病と確定した上で、Aクラスの伝染病(コレラとペスト)の対応を適用し、発生地で責任を負うことを決定。これにより現地が主体的に問題に取り組めるようになった
- 「医療従事者や家族間での(限定された)ヒト-ヒト感染が発生している」との見解を発表(中国政府)
1月23日
- 多くの企業がこの日から春節休暇(23~30日)
- WHOが緊急会合を開催。「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」の宣言は見送り
- 武漢市から市外への市民の流出を禁止(封鎖措置)。しかし、通常の市民はもっと早くから春節休暇を取り始めており、封鎖前に数百万人の市民が武漢から移動しており、この初動の遅れが拡散の大きな原因となった
1月24日
- 武漢市の病院が患者でパンクしている状況を打開するため、わずか10日という短納期での武漢火神山医院建設が始まる。工期短縮のためにプレハブ工法が採用され、華為などの技術協力により5Gが配備され、建設の様子がリアルタイムにネット配信され中国で国民的娯楽に
- 【日本】外務省が、中国湖北省全域を「レベル3(渡航中止勧告)」に引き上げ
1月25日
- 中国政府が海外団体旅行を禁止
1月26日
- 中国政府は国内の学校に対して春節(旧正月)休暇の延長を指示(暫定で2月16日まで、以後も延長方向)
1月27日
- 湖北省武漢市の周先旺市長が中国中央テレビ(CCTV)のインタビューに応じ「人口1000万人以上の都市を封鎖するというのは人類史上例を見ないこと」としてそれを実行した自分は「歴史に汚名を残すことになるだろう」と語った。市長の処分を恐れぬ決断に対して賞賛が送られる一方、市長より上位の武漢市書記が姿を現さないため国民の批判を浴びることになる
- 李克強首相がいちはやく武漢を訪問し病院などを激励。肺炎に対する戦いに打ち勝つ強い意志を表明
- 【日本】自民党対策本部を設置し、党本部で初会合
1月28日
- 中国政府は春節(旧正月)連休の2月3日までの延長を決定→上海市・蘇州市等が企業に2月10日までの休業延期を通知(→のち全国に拡大)
- 【日本】日本国内で武漢市への渡航歴のないバス運転手が感染
- 【日本】武漢市からの帰国支援のため、政府が民間チャーター機3機を派遣
1月29日
- 【日本】日本国内で第三次感染と思われる感染事例(バス運転手→バスガイド)が発生
1月31日
- WHOが緊急事態宣言を発出
- 【日本】日本政府は中国全土の「感染症危険情報」をレベル2(不要不急の渡航中止)に引き上げ
- アメリカ国務省が、中国全土の危険レベルを最高の「渡航中止」に指定し、中国訪問を控えるよう呼びかけ。また、「公衆衛生上の緊急事態」を宣言し過去14日以内に中国に滞在歴のある外国人の入国を一時拒否すると発表
2020年2月 春節後も中国経済は停止継続、日本での患者急増
2月1日
- 【日本】新型コロナウィルスが感染症法上の「指定感染症」に→各自治体が対応体制設置、強制入院等の法的根拠に
- 香港政府が豪華客船ダイヤモンドプリンセス号から下船した男性(80)が肺炎に感染していたと発表
2月3日
- 武漢火神山医院が完成。わずか10日という短納期での約1000床の病院の完成に中国中が沸いた。実際の病人受け入れは2月4日から
- 【日本】横浜に到着したダイヤモンドプリンセス号が停泊できずに隔離状態になり話題に。一日ごとに感染者が爆発的に増え、後に乗客の健康問題や乗船するアメリカ人などの人権問題にも発展
2月7日
- 李文亮医師が死去。比較的に元気にしていたが、2日ほどで急激に悪化して帰らぬ人となった。最も早期に警告を鳴らしながらも公安にデマを流したとして訓戒を受け、自らも感染した英雄医師の死に全中国が悲しみに包まれた
2月8日
- 武漢で日本人初の死亡者が発生
2月10日
- 湖北省や浙江省、重慶市、深センの一部などの地域を除き、中国各地域で多くの企業が操業を再開。ほぼすべての企業がスタッフ部門の在宅勤務を推奨
- 肺炎発生後雲隠れ状態が続いていた習近平国家主席が北京の病院を視察し、庶民派の態度を示すとともに、対策の強化を指示した
2月11日
- WHOが今回の新型肺炎を正式に「COVID-19」と命名
2月12日
- 【日本】日本政府が、湖北省に加え浙江省に滞在していた外国人も入国を拒否と発表(13日午前0時以降)
- 【日本】外務省が中国全土の日本人に「情報収集等に万全を期すとともに、日本への早期の一時帰国や中国への渡航延期を至急ご検討ください」との呼び掛け開始
- 広州ではレストランでの食事が禁止に。テイクアウトのみとなる。
2月13日
- 共産党は湖北省トップの蔣超良書記を更迭し後任に応勇上海市長を、武漢市トップの馬国強書記を更迭し後任に山東省済南市の王忠林書記を充てる人事を発表。湖北省と武漢市のトップが同時に変わるという異例の人事で、対応の不手際の責任を追及された形
- 肺炎の認定方法を呼吸道診断から新しい臨床診断(肺スキャン)に変えたため認定対象が拡大したとして、一日で湖北省の患者数が1.5万人弱急増。しかし実際には書記が更迭され、隠していた数字をすべて曝け出したのだと言われている(図の湖北省の日別新規確定診断者数がバーンと上がっているところです。湖北省以外は減っています)
- 【日本】肺炎による日本初の死者が発生。感染が確認すれたタクシー運転手の義理の母(80)で渡航歴等はなかった
2月14日
- 【日本】外務省が浙江省温州市を「レベル3(渡航中止勧告)」に引き上げ
- 【日本】また、広東省についてもレベル引き上げの可能性有として主要企業へのヒアリング始まる
- 【日本】NTTデータ社員が肺炎に感染していたとして大きく報道される。また屋形船や和歌山県済生会有田病院での院内感染も確認され、日本国内で感染のステージが変わったかもしれないとして話題に(国内への入り込みを防ぐ水際対策→日本のどこに居ても感染する可能性がある市中感染に変わったかどうか?)
2月15日
- このころから、ツイッター等で、中国の断固とした対策を引き合いに出して、日本政府の対応を批判する書き込みをよく見るようになる
- 【日本】アメリカ、香港などがダイヤモンドプリンセス号の中の自国民をチャーター機で帰国させる事に。密室感染での日本の対応が避難の対象に
2月18日
- 【韓国】南部の大邱(テグ)市に住む60代の韓国人女性の感染確認。新興宗教「新天地イエス教会」での感染拡大が始まる。女性は2月10日に発熱したが「海外渡航歴はない」として2度に渡ってウイルス検査を拒否したため感染が拡大した。
- 【韓国】上記により、この時点で感染者数31人で、文大統領が間もなく終息するだろうとまで言っていた状況が一変し、25日には感染者977人、死者10人と1週間で30倍以上に膨れ上がり感染者数世界2位となった。
2月24日
- WHOが世界的流行を意味するパンデミックが起こる可能性に言及し各国は備える必要があるとの認識を示す
2月25日
- 山東省威海市が感染が広まっている韓国や日本からの入国者の14日隔離を発表。続いて、韓国と近く訪問者が多い、瀋陽市、青島市なども韓国からの入国者の隔離を実施。
- 【日本】政府が肺炎対応の基本方針を決定するも、検査対象の拡充などの踏み込んだ内容が無かったため、批判を招く
2月26日
- 【日本】1月29日に感染が確認されたバスガイドが退院後に検査で再び「陽性」となった。2月6日の検査では陰性となっていたが、再び喉の痛みなどが発生し検査したところ再度陽性に。
- 北京市が日本や韓国からの入国者の自宅監査等による14日隔離を発表。
2月27日
- 【日本】北海道教育委員会が道内の小中学校を27日から臨時休校にするように要請
- 【日本】多くの大手企業で在宅勤務が広がる
2020年3月 世界への拡大とパンデミック
3月2日
- 【日本】安倍総理が3月2日から15日までの小中高の全国一斉休校を要請。突然の発表に全国がパニックに陥る
3月4日
- 【アメリカ】カリフォルニア州が感染者が53名と拡大したことに加えて、1名の死亡者(持病のある高齢者との事)が出たため非常事態を宣言
3月8日
- 【イタリア』感染が広がっている経済都市ミラノがあるロンバルディア州など北部地域を大規模に封鎖すると発表。他の地域への移動を制限、総人口の約4分の1の約1600万人を隔離。
3月9日
- 【日本】日本政府が中国、韓国からの入国者への14日間の隔離措置を発表。また、発行済みのビザを停止し、事実上の入国拒否措置へ
- 韓国、中国も同様の措置を実行。韓国が駐ソウル日本国大使を呼び出し避難したのに対し、中国が予防措置として理解を示したという反応の違いは非常に印象的であった。また、韓国からの入国を拒否している国は100か国以上に上るのに、日本にだけ対抗措置を打ち出したことで国内外から大きな非難を浴びた。
3月10日
- 習近平国家主席が肺炎発生後、初めて武漢を訪問。肺炎の抑え込みに成功しているとの認識を示した。
- 【イタリア】北部で実施している封鎖措置を全土に拡大し、サッカー・セリエAの試合を含む集会を禁止
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新型コロナウイルス肺炎COVID-19に関連する中国語単語100(ピンイン付き)
新型コロナウイルス肺炎に関する単語をまとめた中国のサイトがあったのでピンインをつけました。これを見ている人が実際に中国の病院を受診するような事態にならないように祈りますが、覚えておくとニュースを見る際 ...