中国の高鉄(=日本の新幹線に相当)は2008年に始まり、現在総距離は2.8万キロ、距離ベースで世界の60%以上を占めており、圧倒的な世界一となっている。
2030年に東西8路線、南北8路線(8横8縦)となる3.8万キロの鉄道ネットワーク形成を目指して現在も急ピッチで建設が進んでいる。
2019年は鉄道全体で史上最大の14兆円を投資(18年比10%増)し、新規鉄道敷設6,800㌔(18年比45%増)が着工の予定。
高鉄の普及により武漢や重慶、成都などの内陸都市が急速に発展するとともに、これまでは別々であった経済圏が有機的に融合し始めている。
今、もっとも注目されているのは、広州、深セン、香港、マカオなどの大都市を抱える華南地区で、政府が”大湾区”政策を掲げて一大経済圏に育成しようとしている。
ここには香港と広州を結ぶ新幹線が開通するなど、高鉄で急速に経済の一体化が進んでいる。
世界の高速鉄道国別距離数
順 | 国 | 運営中 | 計画 | 最高時速 |
1 | 中国 | 2.8万㌔ | 3.8万㌔ | 350km/h |
2 | スペイン | 0.31 | 0.49 | 310 |
3 | ドイツ | 0.30 | 0.33 | 300 |
4 | 日本 | 0.28 | 0.34 | 320 |
5 | フランス | 0.27 | 0.28 | 320 |
中国は運営中、計画ともに、2位以下を引き離して断トツの距離となっている。またスタートしたばかりのころに大きな事故が起きて安全性が危ぶまれた中国高速鉄道も最近では大きな事故は無く、最高速でも主要国よりも早い時速350キロとなっている。
中国の高速鉄道計画
2019年時点で沿岸部を結ぶ主要路線および、北京、上海、広州と内陸を結ぶ主要な路線は完成しているが、内陸同士を結ぶ路線、例えば、西安~住建や、重慶~貴陽、成都~昆明などはまだ建設中である。これが完成すれば、内陸同士の移動が大変便利になり、内陸経済の成長が加速されると期待されている。
私も去年、貴陽から重慶の移動を飛行機がしましたが、すごく近いので新幹線が出来たら是非利用してみたいと思います。
中国鉄道乗客数(在来線含む)の推移
この10年で高速鉄道の発達に比例して、鉄道乗客数も大きく伸びている。飛行機乗客数に比べて、圧倒的に高い伸び率となっており、日本の新幹線のように、中・長距離移動の主要な交通手段となっているのが分かる。
日本の26倍、アメリカとほぼ同じという、中国のような広大な国土を持つ国でここまで高速鉄道=新幹線が普及できたのは、ひとえに共産党の一党独裁による強力なトップダウン施策のおかげであろう。
ちなみに私もよく中国の高鉄を利用するが、日本のようにカーブが多くもなく、揺れも少ないので、日本よりも逆に快適なくらいである。また、飛行機のように遅れがあまりないため、利便性は高い。
日本の新幹線の技術を盗んだなどいろいろと言われたりしましたが、現在では中国は間違いなく世界一の高速鉄道大国になっている。
先日、中国のネット記事をネット記事を読んでいたら、中国は日本とドイツの鉄道技術を導入し、改良して世界一の鉄道技術大国になったと、という記事が載っていた。基本的にはこの意見の通りで、他の国には出来なくて、中国には出来た、というところがやはり凄いのだろう。
まだまだ安全性や運行面では日本の方に一日の長があるかもしれませんが、決して中国の高鉄を侮ってはいけないと思う。中国出張の際には是非自らご体験あれ。