ココがポイント
中国企業の躍進はすさまじい。中国で大企業をアピールする際によく使われるフォーチュン500に入る企業数はすでに日本を超えている。TOP10を見ても中国企業がたくさん入っている。しかし、それらの企業は中国石化(ペトロチャイナ)や銀行系等のように国有企業が多いのが実態である。では、民営企業で大きいのはどの企業なのか、皆さんお分かりだろうか?2019年度版からその特徴を見ていこう。
そもそも国有企業とは?民営企業との違いは?
そもそも中国における国有企業とは何なのか?国有企業は中央国有と地方国有に分かれ、地方国有企業は行政階層に応じて省(直轄市、自治区を含む)級の企業、市級、県級の企業に分かれる。
中央国有企業(一般的には央企と言われる)は国家がすべての資本をもつ「独資」企業、支配株をもつ「支配株」企業、一部の株式をもつ「参加株」企業に分かれる。年々、その数は減っているが約100社程度である。それ以外にも、財政部(日本の財務省に相当)が管轄する中央金融企業である銀行、資産管理会社、保険会社などが20社程度ある。
地方では、国有資産監督管理委員会(国資委、SASAC)が管理する企業が全国で12万社以上あるといわれている。ちなみに、中国の企業総数は4000万社以上あると言われているので、比率でみればそんなに多いとは言えない範囲である。
ちなみに、フォーチュン500でトップ100くらいに入っている中国企業はほとんど国有企業で、2018年フォーチュン500を見てみると1位ウォルマート約50兆円、2位国家電網(ステートグリッド)約35兆円、3位中国石化(ペトロチャイナ)33兆円と、バリバリの国有企業が入ってきている。
トップ30リスト
出典:中国工商聯「2019中国民営企業500強報告」
1元=15円にて計算すると、1位の話題の華為(ファーウェイ、Hawei)は約11兆円、2位はこれまた話題の航空会社である海航集団の約9.3兆円、3位は家電量販大手の蘇寧(Suning)は約9兆円と続いている。華為はグローバルに展開しているが、2位と3位は基本的には中国国内市場を対象とした企業であるのは印象的である。
中国のAMAZONと言われてる中国2大ECの一角である京東(JD)は6位で約6.9兆円、日本人にも馴染みが深い9位の聯想(LENOVO)は約5.3兆円、16位の東芝の家電を買収した美的(Media)は約3.9兆円、24位の小米(Xiaomi)は約2.6兆円と続いている。ここに出てきている電機メーカーはグローバルでも強い競争力を持つ企業である。
電機メーカーは業界的に規制産業ではないため、比較的早い時期からグローバル化し、競争力を磨いてきた、と言ことであろう。まあ、たまに、政府からたくさん補助金をもらっているのでは?疑惑が出ることもあるが。。。
ランク入り企業の特徴は?
こうしてみると、地域別では広東省がやはり一番多いのであるが、それに続くのが、北京市や江蘇省、浙江省の華東地区コンビである。ちなみに、上海市はTOP30には一つも入っていないのが印象的である。
中国の民営企業は、ベンチャーが盛んな広東、とくに深センと北京に多いようなイメージがあるが、そのイメージ通りのランキングとなっている。これらの地域は経済規模や市場規模も大きく、人材もそろっているので民営企業が育ちやすいと思われる。
また、ここに入っている企業のほとんどは、当然ながら改革開放後に設立された企業ばかりであり、まだ創業者が健在の比較的若い企業であるのも特徴で、これらの企業はファウンダーによるトップダウンで、スピード感のある運営を行っているのも特徴である。
まとめ
中国の民営企業は今、非常に大きな活力をもって力強く成長している。その規模はすでに日本の東証一部に上場する大企業と同等かもしくは凌駕するものも多い。
中国でビジネスを行う場合、このような企業といかに競争するか、またはいかに協業していくかをよく考えなければいけない。