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中国の歴史と文化を知るために読みたい素人は知らない傑作漫画5選 その3

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今回は中国の歴史と文化を知るために、普通の漫画好きではななかなか読まないであろう、ちょっとマニアックな中国の歴史をテーマにした漫画紹介シリーズのその3が出来ました!その1とその2は大変好評でしたが、今回もじっくり厳選して、マイナーだけれども、より面白い(前回比300% ※当社比)漫画ばかりを集めました。

 

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巨匠本宮ひろ志が若き日に描いた項羽と劉邦の戦い「赤竜王」

 

 

本宮ひろ志というと今の若い世代ではドラマにもなったサラリーマン金太郎が有名だが、昔は週刊少年ジャンプで男一匹ガキ大将などを連載しジャンプを支える漫画家であった。その本宮ひろ志の最後の週刊少年ジャンプでの連載となったのが、項羽と劉邦の戦いを描いた、この赤龍王である。

 

1986年より連載が始まり、87年に週刊少年ジャンプでの連載は終了となり、スーパージャンプへ移籍も未完で、単行本化に合わせて7巻、8巻を書き下ろして完結となった。

 

 

そのため、劉邦が漢中を出て反撃を始めるあたり以降は駆け足の展開となってしまっているのが非常に残念であるが、かなり史実に忠実に描かれており、またエンターテイメントの部分も忘れていない。項羽と劉邦関連の漫画としてはかなりの傑作である。

 

なお、本作では、上記の事情により、項羽と並ぶ戦上手の韓信の活躍ぶりが書かれていないので、初めて項羽と劉邦の話を読む人はちょっと注意しておく必要がある。項羽と劉邦は、韓信と張良の活躍が最大の見せ場なので!

 

 

この漫画、何が良いかというとやはり本宮ひろ志の絵である。1986年の漫画なのでかなり昔であるが、やはりこの絵は良い!一時代を築いた漫画家の漫画はやはり読んでいて引き込まれれる魅力を持っていると思う。ちなみに、余談であるが、同作者が書いた三国志関連の「天地を食らう」は完全にファンタジー漫画になっているので今回は紹介しないが、実はこれも好きである。

 

西域へのロマンを駆り立てる「コミック・シルクロード 1 張騫の遠征」

 

 

作者の久松文雄は手塚治虫のアシスタントからプロデビューした人で、若者にはあまりなじみがないかもしれないが、漫画原作者の久保田千太郎と組んだ史記シリーズはとても有名。

 

この漫画を一言でいうとまあよくこんなマイナーな話を漫画にしたものである、という事なのであるが、学習漫画的な要素もあり、非常に興味深く読める。張騫はなんと紀元前130年頃に漢の使者として、匈奴を挟み撃ちするために大月氏国に派遣され、匈奴の捕虜となり、その後逃げ出して大月氏を訪れ、13年後に漢に帰国したという人物。

 

当時、匈奴に悩まされていた漢の皇帝から、なんか分からないけど大月氏という国が西のほうにあるらしいから、探し出して同盟結んで来い、という無茶振りを引き受けて、張騫が歩んだ道が後にシルクロードとなり、中国の西域支配の基礎となったという実はすごい人物

 

 

この当時の西域の事情はあまり分かっていないことも多いが、ウズベキスタンのフェルガナ市なども出てくるし、西域へのロマンが掻き立てられる。

 

碧眼金髪の王族たちが支配していた大夏国では1日に1千里(約500km)走るという汗血馬を獲得し、これがのちの三国時代の呂布の愛馬・赤兎馬となっていた、というエピソードをこの漫画で初めて知った。非常に勉強になる。

 

一冊完結で簡単に読めるのでぜひ読んでみることをお勧めする。なお、このコミック・シルクロードシリーズは全部で7冊あり、班超などの話もあるので興味があればお勧めします。

 

 

燕京伶人抄

 

 

私はあまり少女漫画には詳しくないが、皇なつきが1996~97年に連載をした、1920年代の北京を題材とした物語。全2巻で、前半は京劇を題材として物語が進んでいく。作者があとがきでも触れていますが、当時、さらばわが愛~覇王別姫にはまっていたのが影響しているとのこと。

 

ちなみに、この本は、私の名前の燕京(北京の別称)が入っていたのと、私自身、京劇が大好きなので読んでみた。日本の漫画で京劇を題材としたものは私が知る限りでは他に無いので貴重な漫画である。もっとも、京劇への掘り下げはあまりなく、あくまでもヒューマンドラマである。

 

 

 

この漫画、絵がめちゃめちゃきれいです。漫画ってやはり画力が高いほうがいいですよね!ただ、ちょっと上手すぎて、漫画というよりもイラストチックなのが若干違和感はありますが。

 

 

後半は京劇要素は少なくなり、中国を舞台としたヒューマンドラマが展開される。私のように中国在住歴が長く、中国に親戚がたくさんいる人間からすると、かなり違和感がある部分もあったりするわけであるが、まあ、それでも、なかなか当時の中国の風俗をよく調べて描いているんだと思われる。

 

なによりも良いのが、国民党だの共産党だの、戦争だの血なまぐさい話が全くなく、あくまでも中国をベースとしたヒューマンドラマが展開されている、という点である。この時代の中国を題材にした漫画で、このような漫画は結構新鮮である。

 

1920年、中華民国で民主主義が花咲いていた時代の北京の様子の一部に思いをはせることができる良作である。

 

藤子不二雄が描く毛沢東の半生「劇画 毛沢東伝」

 

 

藤子不二雄A先生が漫画で毛沢東の伝記を書いていたって知っているだろうか?1970年~1971年に漫画サンデーで連載された、革命家シリーズの一つである。

 

もう、藤子不二雄A先生の独特の絵が素晴らしい!スクリーントーンはあまり使わず、陰影を斜線やべた塗りで表現するその独特な画法にぐいぐいと物語に引き込まれます!当時はまだ日本では文化大革命の実態があまり知られておらず、学生運動などもあり、共産主義や毛沢東主義が大きな影響を持っていた時代であり、その時代の熱いエネルギーを漫画から感じることができる。

 

 

物語は毛沢東の誕生から、長征を成し遂げ、若干飛んで、新中国建国までで終了している。

 

 

現在の日本人の一般的な知識でいうと、毛沢東と言えば、文化大革命や大躍進で中国を混乱に陥れた悪いイメージしかないと思う。毛沢東が新中国建国までに行った偉業(あえて偉業と言っておきますが・・・)についてはほとんど知らない人が多いと思うので、この本はとても良い勉強になる。これを読めば、毛沢東が共産党からも「功績7割誤り3割」と言われている部分の7割の部分が分かる。

 

 

 

満州事変前~終戦後の引き上げまでを中国を舞台に描いた「国が燃える」

 

 

またも巨匠本宮ひろ志の作品である。この作品、超話題作であるが、一般人にはあまり知られていないであろう。なぜ、話題作であるかと言えば、本当に素晴らしい漫画であるが、南京大虐殺描写事件で大いに議論を巻き起こしたからである。詳細は後程述べる。

 

物語自体は、農業の専門家である主人公が満州の地にわたり、その地で様々な歴史に翻弄されながらも、移民を受け入れ、そして終戦でシベリア抑制を経て帰国するというストーリーである。この時代の歴史的な事件や、軍や政治にかかわる著名人が多く出てきて、大変歴史の勉強になる。本宮ひろ志の重厚なストーリー展開も良い

 

なお、石原莞爾が準主役級で出てくる。この時代を舞台とした物語には、この人物は必ず出てきて、しかもちょっと良い人として書かれるから不思議である。満州事変を主導しながらも、戦争不拡大を訴えた彼の複雑性にみな惹かれるのであろう・・・。

 

 

さて、冒頭で上げた南京大虐殺描写問題であるが、2004年9月に掲載された第87話と第88話で南京大虐殺について取り上げ、「百人斬り競争」や、逃げ惑う一般市民を機関銃掃射する場面を描写し、学者、右翼団体、保守政治家から大きな反響を引き起こすこととなる。そのため、集英社が休載を発表し、連載再開後は駆け足のストーリー展開で連載を終了させた。また、単行本からも問題のシーンは削除されている。

 

ちなみに、単行本からもこの話はごっそり抜けているのであるが、ネットを探すといくつか出てくるので、参考までに下に掲載しておく。

 

(この画像は漫画に収録されていません)

 

これが真実であったのか、私は分からないが、この論争のせいで、この素晴らしい漫画の連載が半ば打ち切りのように終わってしまったのは残念である・・・。

 

 

 

 

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