現在の中国の首都はご存じの通り北京であるが、中国の首都はどのような変遷を経てきたのか?日本の首都は古来あまり大きな変更はないものの、それでも京都、奈良、大阪、東京などと変遷してきた。中国はもう少し変化が多いため、主要な王朝の首都の変遷を地図付きで解説したいと思う。歴代主要王朝の中でもっとも首都の期間が長かった都市はどこか?中国の四大古都、六大古都、八大古都とはどこか?一緒に確認してみよう。
現在の首都北京のトリビア
現在の首都が北京に決まった経緯についてはなかなか興味深いので以前のブログを見ていただきたい。様々な都市が検討されて、その中で北京に最終的に落ち着いた背景が良く分かる。
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1949年 中国の首都はどのような経緯で決まったのか?
1949年、中国人民政治協商会議は首都の候補として、上海、南京、北京、ハルビン、西安、洛陽、開封、延安、重慶、武漢などのいくつかの都市を考慮していた。いくつかの有力そうな都市の中から、北 ...
ちなみに、北京市のトリビアを少しご紹介すると、面積はなんと四国とほぼ同じ大きさである。また、清の時代に北京と呼ばれていた北京は、中華民国が1928年に南京に遷都すると北平と改称された。その後、1949年に中国民主主義人民共和国が建国されるとまた北京に戻されている。ちなみに秦や漢の時代には北平と呼ばれており、これは由緒正しい名前である。台湾(中華民国)は現在でも、北京の公式名称を北平としていたりする。中国で最も標準的な中国語を話すのは北京ではなくお隣の河北省承徳のあたりと言われている。北京語は江戸っ子のような巻き舌のある中国語である。
歴代王朝の首都地図
まず最初に現代の地図に過去の首都を配置したものを見てみると、主要王朝の首都が華南地区に移ったことは不思議なことに一度も無い。また、昔の中原の中心地は西安(長安)の周りであったが、北宋が滅亡した1100年頃以降はこの近辺に首都が戻ることは無かった。海運が大切になったためとも言われている。
<歴代主要王朝の首都一覧>
西周 | 鎬京(長安) | 前1122年?-前771年 |
東周 | 洛陽 | 前770年-前256年 |
秦 | 咸陽 | 前221年-前206年 |
前漢 | 長安(西安) | 前206年-9年 |
新 | 長安 | 8年-23年 |
後漢 | 洛陽 | 25年-190年 |
長安 | 190年-196年 | |
許(許昌) | 196年-220年 | |
西晋 | 洛陽 | 265年-316年 |
東晋 | 建康(南京) | 317年-420年 |
隋 | 大興(長安) | 581年-618年 |
唐 | 長安 | 618年-907年 |
北宋 | 開封 | 960年-1127年 |
南宋 | 臨安(杭州) | 1127年-1279年 |
元 | 大都(北京) | 1264年-1368年 |
明 | 南京 | 1368年-1420年 |
北京 | 1420年-1644年 | |
清 | 盛京(奉天) | 1636年-1644年 |
北京 | 1644年-1911年 | |
中華民国 | 北京 | 1912年-1928年 (この時期はいくつかの地域に国民政府があった) |
南京 | 1928年-1937年 | |
武漢 | 1937年(日中戦争により退避) | |
重慶 | 1937年-1945年(日中戦争により退避) | |
南京 | 1945年-1949年(以後、中華民国は台北に退避) | |
中華人民共和国 | 北京 | 1949年- |
出典:wikiの中国の首都より燕京が改変
三国志の時代、蜀の首都は成都であったが、このような例は地方政府として今回の主要王朝にはカウントしていない。春秋戦国時代や魏晋南北朝時代などを入れていくときりがないので、今回は主要王朝のみとした。
どの都市が最も首都として長かったのか?
上記の王朝はある程度正確な年代と首都が明確になっており、しかもいわゆる中国の大部分を支配した統一王朝(周は違うが、、、)であるが、この前提で上記の主要王朝の首都の期間を足してみると以下のようになる。
- 西安 913年
- 洛陽 739年
- 北京 666年(2020年までで計算)
- 南京 168年
- 開封 167年
- 杭州 152年
西安が圧倒的に長い!周や漢の時代に長い間首都であったことがかなり大きく影響している。今はぱっとしないと洛陽も健闘し、それを北京が現在一生懸命追い上げているという感じである。南京は意外にそんなに長くはなく、杭州や、今はぱっとしない開封とそんなに変わらない。こうして見ると、やはり中国旅行に来たら一度は西安に行かないといけない気になってしまう。
中国の四大古都、六大古都、八大古都とは?
中国では昔から西安・北京・南京・洛陽が「四大古都」と呼ばれていた。上記の首都期間の年数を見ても分かる通り、まあ確かにこの4つの都市はそう呼ばれるのにふさわしい歴史を持っている。
さらに、wikiによると歴史学者らの主張によって1920年代に開封が、1930年代には杭州がこれに加えられて「六大古都」と呼ばれるようになった。
また、1988年、地理学者が殷の都である殷墟を評価してその所在地である安陽を追加するように提案、2004年に中国古都学会が、殷の時代以降3600年の歴史を持つ鄭州を追加し「八大古都」と呼ぶようになった。ちょっと強引な気もするが、、、
まとめ
以上、中国の首都の紹介をしてみたが、やはり歴史のある都市には実際に足を運んで、自ら体験することをおすすめしたい。私も出来れば上記のすべての都市を制覇してみたいと考えている。
北京や南京、西安などは有名で行ったことがある人も多いかもしれないが、その他の都市もきっと素晴らしい歴史を体感できるだろう。