世界一の人口を誇る中国であるが、あまりにも人口が多すぎていまいち身近に感じられない。ということで、今回は省別の最新の人口データをもとにそのインパクトを見てみたい。ちなみに、日本より人口が多い省は存在しないものの、1億人を超える人口を擁する省が2つあり、欧州の先進諸国よりも人口が多く、一つ一つの省が国家に匹敵するレベルであるということが分かる。
ランキング1~10位
2017年時点では中国の人口は13億人(2019年には14億人となったようであるが)と世界一位となっているが、少子高齢化が深刻化しており間もなくインドに抜かれると言われている。それでも、3位のアメリカが3.2憶人程度であることを考えると、インドと中国が他国を圧倒していることが分かる。世界的に2億人以上の人口を抱える国は多くないが、医療問題が解決されれば7位のナイジェリアなど、今後、アフリカ諸国が上位に食い込んでくる可能性もある。なお、日本は現時点では10位と健闘しているが、今後、人口は8千万人くらいまで減少するといわれており、寂しい限りである・・・。
順位 | 国 | 人口(100万人) |
01 | 中国 | 1390 |
02 | インド | 1317 |
03 | アメリカ | 325 |
04 | インドネシア | 261 |
05 | ブラジル | 207 |
06 | パキスタン | 197 |
07 | ナイジェリア | 189 |
08 | バングラデシュ | 163 |
09 | ロシア | 144 |
10 | 日本 | 127 |
ランキング10~20位
さて、ここからいつも通り、中国の省無双がはじまる。広州市、深センを抱える広東省と青島で有名な山東省はなんと1億人越え。ちなみに、河南省もほぼ1億人である。この人口は、東南アジアの中では次の発展を期待されているフィリピンと同等である。また、その昔、三国志の蜀があった四川省はドイツとほぼ同じ人口となっている。日本人にとって馴染みの薄い河北省や湖南省もよく見るとタイよりも人口が多いという無双ぶり。
順位 | 国 | 人口(100万人) |
11 | メキシコ | 124 |
広東省 | 112 | |
12 | フィリピン | 105 |
山東省 | 100 | |
河南省 | 96 | |
13 | エジプト | 95 |
14 | ベトナム | 94 |
15 | エチオピア | 93 |
16 | コンゴ | 93 |
四川省 | 83 | |
17 | ドイツ | 83 |
18 | イラン | 81 |
江蘇省 | 80 | |
19 | トルコ | 81 |
河北省 | 75 | |
湖南省 | 69 | |
20 | タイ | 68 |
ランキング21~30位
さて、このあたりにヨーロッパの主要先進国が出てくるのであるが、イギリス、フランス、イタリアといった欧州先進国の人口は安徽省というマイナー省(笑)と同じである。30位のスペインに至っては雲南省よりも少ないという・・・。
順位 | 国 | 人口(100万人) |
21 | イギリス | 66 |
22 | フランス | 65 |
安徽省 | 63 | |
23 | イタリア | 61 |
湖北省 | 59 | |
浙江省 | 57 | |
24 | 南アフリカ | 57 |
25 | ミャンマー | 53 |
26 | 韓国 | 52 |
27 | タンザニア | 50 |
28 | コロンビア | 49 |
広西チワン自治区 | 49 | |
雲南省 | 48 | |
29 | ケニア | 47 |
江西省 | 46 | |
30 | スペイン | 46 |
出典:JETRO、2017年
まとめ
私は事あるごとに、ビジネス上は中国をひとくくりにして見るべきではないと言っているが、その理由の一つがまさにこの人口である。一つの省で他の大国に匹敵するだけの人口を抱えており、中国でビジネスする場合にはきめ細かく地域別のマーケティングを行う必要があると考えている。
もちろん、ネット販売の進展によりこの地域性は縮まっていくのであろうが、中国の場合、アメリカとは異なり、やはりまだまだ地域戦略が非常に需要である。北と南で大きく異なる文化や、内陸部と沿岸部の経済格差など、中国はまだまだ均一的なマーケットとは異なる。
日系企業でよくある失敗に、この中国に日本で成功したマーケティング手法を単純に持ち込むことである。B2Bならまだしも、B2Cのビジネスでは、日本のマーケティング手法はかなり中国風にカスタマイズしないと失敗してしまう。最近でいえば、北京の大手企業が武漢や長沙にけっこう積極的に進出していたりするのであるが、日系企業にはなかなか理解しにくいであろう。これも現地を熟知した現地企業の地域戦略である。このような背景を日系企業は肝に銘じておくべきであろう。