今回は中国最大の祝日である春節(旧正月)についてご紹介したい。日本でも昔は旧正月を祝っていたが、明治維新のあたりから公式に歴が変わり、すでに150年ほどの時がたったため、日本では旧正月に関する風習が廃れてしまった。旧正月を祝う国は世界でも意外と多いので、グローバルにビジネスを行う人などはこの風習を知っておくべきである。
春節とは何?
中国の旧正月期間は、正式には旧暦の12月23日の祭竈(一部地方では12月8日の臘祭)から旧暦正月15日の元宵節までの期間である。
春節は厳密にいうと、旧暦の1月1日(正月初一)を表すものであるが、ここらへんは中国でも混同されており、春節=旧正月期間と捉えられても大きな間違いではない。
春節は以前は、日本と同様に元旦と言われていた。元は始まるの意味であり、旦は日の出を示す形であるため、元旦は最初に日が昇る一日として、1月1日を表す言葉であったが、改暦にあわせて正月=元旦、旧正月=春節というように使い分けされるようになっていった。
今後の春節のスケジュール
春節は毎年変わってめんどくさいと思う人も多いと思うが、後ほど詳細を述べるが、太陰暦でちゃんと計算できる。そのため、百年後まででも春節を計算することは可能である。
- 2020年1月25日
- 2021年2月12日
- 2022年2月1日
- 2023年1月22日
- 2024年2月10日
- 2025年1月29日
- 2026年2月17日
- 2027年2月6日
- 2028年1月26日
- 2029年2月13日
- 2030年2月3日
- 2031年1月23日
- 2032年2月11日
- 2033年1月31日
- 2034年2月19日
- 2035年2月8日
- 2036年1月28日
- 2037年2月15日
- 2038年2月4日
- 2039年1月24日
- 2040年2月12日
中国で春節の風習はいつから始まった?
中国では古代からすでに年末年初に先祖や神への祭祀が行われ、合わせて豊作を祈念することが一般的に行われていたという。『書経』では、神話時代の五帝の一人、舜が正月に臣下を率いて天を祭祀したことが記されている。
夏、殷、周、秦と正月は時期がいろいろと変わっていたようであるが、前漢の武帝の代に行われた太初改暦の際に夏暦の元月を正月に定め、清滅亡まで続く春節となった。
これが本当であれば旧正月は中国ですでに4千年以上の歴史を持っていることになり、新暦に変わっても旧正月が綿々と続いている理由がわかる気がする。
ちなみに、中国では中華民国が1912年に新暦を採用したため、正月=元旦と旧正月=春節が泣き別れすることになった。しかし、日本とは異なり、中国ではいまだに旧正月をメインで祝い、正月は1月1日の1日だけが祝日となるだけであまり正月の雰囲気は無い。
日本の旧正月はどうなった?
実は現在でも年賀状によく出てくる“迎春”、“新春”などに春節の名残は残っている。春節は1年の始まり=春の始まりを表すものであるが、日本のお正月は冬の間に行われる行事であり、春ではないため、この”迎春”というような使い方は旧正月の名残と言える。
日本の正月は記録に残る限りでは6世紀にはすでに存在していたようである。中国の歴史に比べれば短いのであるが、それでも1500年程度の歴史はあるようで、旧正月の名残があるのも当然である。
日本でも1872年(明治5年)までは旧暦が公式の暦であったが、西欧に倣うということで、当時としてはアジアの国ではありえなかった西欧の新暦であるグレゴリオ暦に公式に採用した。欧米列強に対して、明治維新を成しあげたものの、まだまだ国力で劣っていた、という背景の中、改暦の大きな決断がなされたのである。
そのような時代の雰囲気の中で東洋的な旧正月は否定され、徐々に風化していき、いつしか日本では元旦を祝うだけになってしまった。
旧暦(太陰暦)と春節の決まり方
現在の主要国で採用されているグレゴリオ暦は地球が太陽を1回転する日数を1年=365日とする。4年に一度閏年で日にちを調整する。
一方、太陰暦では月の満ち欠けで日にちを決め、1ヶ月は29日もしくは30日となり、これを12回繰り返すことで1年とした。この場合、1年が354日となり、太陽暦より11日短いため春節は毎年日にちが異なることになる。
ここで不思議なことに、毎年11日づつズレていくと、そのうち春節が夏になってしまうのでは?という疑問であるが、これには19年に7回、1年を13ヶ月とする閏月を加えることで調整している。
例えば、直近の例でいうと、2020年は5月22日が旧歴4月30日で翌日5月23日から閏月の閏4月1日が始まる。
ちなみに余談であるが、太陰暦にも上で紹介したような閏月を挟む太陰暦=太陰太陽暦と閏月をはさまない純粋太陰暦というものがあり、これはイスラム国家で利用されているヒジュラ暦がその代表である。
春節が国民の休日となっている国・地域
中国の春節休暇はいつなのか?一般的には、旧暦の大晦日(除夕)から旧暦の1月6日までの7連休が公式の休みとなる。なお、休みは毎年前年の12月にならないと公式に発表されない。
中国同様に以下の国・地域で春節が公式に休日となっている。
・中国
・台湾
・大韓民国
・朝鮮民主主義人民共和国
・ベトナム
・シンガポール
・マレーシア
・インドネシア
・ブルネイ
・モンゴル
春節の風俗・週間
春節の風習でもっとも大切なのは、実は大晦日(=中国では除夕)である。日本の場合は1月1日、もしくは三が日を重視するところが多いと思うが、中国の場合は大晦日である。
代表的な違いを一つ挙げると、日本のおせち料理は元旦に食べるところが多いと思うが、中国の場合は大晦日に家族が揃って一緒に食事をする。
また、爆竹なども大晦日から年越しの夜に鳴らすことが習慣となっている。年が明けると、親戚まわりをしたり、お年玉(中国では紅包もしくは圧歳銭という)をもらったりするのは日本と同じである。
ここら辺の春節や除夜の物語や風俗については以下に詳細を書いたのでご覧いただきたい。
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旧正月の終わりの日=旧暦1月15日の元宵節
中国の旧正月は旧暦の1月15日あたる元宵節で終わる。漢の時代にあった反乱が15日に平定されたため、この日を祝うようになったことに由来する。
元宵節には赤い灯籠を飾って、正月の終わりを盛大に祝う。また、中国の正月の恒例である爆竹や花火などもこの日には盛大にあがり、正月の終わりを惜しんだりする。
また、この日には白玉(中国では湯圓という。南方では元宵)を食べる。厳密にいうとこの湯圓と元宵は違うものであるが、見た目はほとんど同じである。湯圓はアンコを生地で包み、元宵はアンコを粉の上で転がして雪だるまのように作られる。
最後に
というわけで、中国最大の祭日である春節について日中の違いなども含めて見てきた。旧正月は世界的に見ても、正月やクリスマスと並んで最も盛大に祝われるホリデーの一つなので、グローバルビジネスをすすめるにあたっては必ず知っておくべきであるので、参考になれば幸いである。