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暖气 nuǎnqì~中国北方のセントラルヒーティング

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北京をはじめ中国の北方の冬の寒さはかなり厳しい。しかしながら、中国に住んだことがある人ならご存じの通り、中国の北方の冬はけっこう快適である。なぜならば、冬は暖気(セントラルヒーティング)で家の中はぬくぬくになるからである。今回はこの暖気についてちょっと詳しく説明したい。

 

<北京の家でよく見かける”暖気”>(暖气 nuǎnqì=セントラルヒーティング)

 

暖気の概要

 

1950年代から公共事業として整備されたものである。”食べること”と同じく”暖房”も収入や家庭の状況に関らず全て平等に与えられるという、社会主義的な発想から始まったもののようである。

 

冬季の日中の平均気温が90日以上5度以下が続く地域が対象となっている。暖気は重油で熱を作り、お湯を町中やマンション全体に行き渡らせることで室内の温度を暖かくする。冬に北方で空気が悪くなるのは、この暖気に使うお湯を沸かすために重油を燃やすことも一つの要因となっている。

 

 

なお、この暖気は国の法律で決まっている事であるので、拒否することは出来ない。会社員や公務員の手当てには家の広さ1平方メートルあたり25~40元の「取暖费qǔnuǎnfèi=暖房手当」の支給も義務となっておりこれは非課税である。暖気の費用自体はエアコンなどよりはかなり安くなっている。

 

北方の暖気がある部屋の平均気温は16~18度であるが、暖気の無い重慶で12度、武漢は2度ということなので、南方の家はかなり寒いことが分かる。マンションの設備次第ではあるが、きちんとした北方のマンションでは冬でも室内は半袖短パンで生活することが可能。

 

 

北の人は冬に半袖短パンでアイスを食べる、南の人は寒い部屋で凍える、という逆転現象が起きることになる。暖気の無い上海の冬もかなり寒いんであるが、内陸部の大陸性気候地域にあたる都市の部屋は本当に寒いので注意されたい。

 

使える期間

 

例年、期間は11月15日~翌年の3月15日となっている。北方の11月は寒い日だと初旬でも雪が降ることもあるので、セントラルヒーティングが入るまでの期間はかなり寒いことが多い。学校や、軍隊、養老施設などの優遇された施設では11月の上旬から優先的に暖かくなることも多い。

 

費用は部屋の大きさなどによって変化する。1シーズンで大体2,000~4000元程度。この金額で11月~3月までぬくぬく生活できるのなら納得という気がする。

 

注意点

 

11月15日のセントラルヒーティングのお湯をマンション全体に流す日は出来れば家にいる方が良い。すくなくとも、出張で1週間くらい家をあけてしまう、というようなことは避けた方が良いだろう。なぜなら、

 

・温水管から水漏れする

・何故か暖かくならない

・異音がしてうるさい

 

などの様々なトラブルが起きるからである。

 

また、大陸性気候で乾燥する地域では、暖気が入ると部屋の温度が上がり室内がますます乾燥する。なれない日本人は必ず喉を痛めるため、加湿機能付きの空気清浄機を準備しておくと良いだろう。

 

 

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