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歴史に学ぶ!中国と共産党政権の寿命

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中華人民共和国は1949年に建国されたため、2019年に建国70周年を迎えました。いまや世界の先進国では珍しく、共産党一党独裁体制を維持しています。その共産党が2021年の7月1日で設立100周年を迎えました。世界中で共産党政権が崩壊する中、中国共産党がいつまで続くのか、世界中で注目されています。今回はその問題を考えてみたいと思います。

※今回の内容はYoutubeで動画としてもアップされています

歴史は繰り返す

 

未来を知りたい場合は、歴史を見ればわかります。歴史を見ることは古い過去の事を知るためではなく、未来を知るためなのです。

 

マルクス:「歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、2度目は喜劇として」

 

近代 知の巨人マルクスは歴史は形を変えて何度も同じことを繰り返すと言っています。中国の歴史を見ると、中華人民共和国、というよりもこの場合は共産党の命運というべきかもしれませんが、共産党の未来について興味深い示唆を得ることができるのです。

 

中国王朝300年説

 

皆さんは、中国王朝300年説というのをご存じでしょうか?

中国は夏王朝から考えて4000年とも言われる悠久の歴史を持っています。夏、殷、周の三代と呼ばれる時代は、王は象徴的な権力を持っていたものの支配地域は都市周辺に限られ、多くの諸侯が乱立しており、日本の天皇と戦国大名の関係に近いものがありました。周はあわせて700年と長期続きましたが、中国の大半を支配していた王朝とは性格が異なります。

そのため、中国最初の統一王朝と呼ばれる秦以前と秦以降に中国を分ける考えがあります。秦以降の王朝を見てみると、300年を超えて続いた王朝は存在しません。前漢と後漢を足すと409年となりますが、前漢は一度完全に滅亡しており、後漢は新しく設立された王朝とされます。また、北宋と南宋も足すとわずかに300年を超えますが、これも途中で断絶しています。

日本やヨーロッパ、またオスマントルコなどもそうですが、中国以外の地域ではより長期の国家や王朝が続いているのですが、中国はなぜか300年という壁があり、これを超えられた王朝はありません。

 

中国王朝崩壊のメカニズム

 

どうして300年以上続かないのか、その理由を歴史をさかのぼって詳細に見てみると、中国の王朝は一定のサイクルを経て300年以内に滅亡していることがわかります。

 

建国期

ある王朝が始まると、建国期の尚武の気風により質実剛健な運営のもと、小さな政府で戦乱により疲弊した民を休ませる政策をとります。平和が続き人口増加率が急激にプラスに転じます。

最盛期

政府は官僚や軍隊の数を増やして大きな政府となり、対外的な拡大を志向するようになります。経済や農業生産は向上し、権力者の生活は豪華になる傾向があります。

衰退期

人口が増えすぎる割には農業生産が追い付かず農民は徐々に困窮します。政治と経済が停滞し、官僚も腐敗し始めます。政府もあれこれ改革案を打ち出すがどれも成功しません。

滅亡期

農民の困窮、経済の停滞を背景として、あやしげな宗教や迷信がはびこり農民反乱が頻発するようになります。それを抑えることができず、官僚や宦官、外戚の権力争いにより、政権が内部から崩壊を始めます。周辺の異民族が力をつけて、この時期に侵攻を開始する場合も多くあります。

 

このようなサイクルの繰り返しで、中国の王朝は300年以上継続する事ができずに興亡してきました。

 

64王朝の歴史

 

中国最初の統一王朝である秦王朝以降、中華民国まで、戦乱時代の周辺王朝まで含めると中国の王朝は64を数えます。中華民国は王朝でありませんが、これも計算に入れて、この64王朝の平均の存続年数を計算すると、偶然ですが、64年になります。中華人民共和国は建国から70年以上経過しており、その意味ではすでに平均を超えた長期政権ということが出来ます。

この64王朝の中には魏晋南北朝時代や五代10国などのミニ王朝も含まれているので、中国の大部分、もしくは主要部分を支配した王朝だけを選別すると、13王朝まで減少します。平均存続年数は146年となり、現在の中国の2倍程度まで一気に伸びます。

 

この13王朝が滅亡した原因を、ざっくりと「①外部からの圧力、戦争などによる崩壊」「②農民・民衆反乱による崩壊」「③内部の宦官・官僚・外戚などの権力争い」の3つに分けるとご覧のようになります。もちろん、複合的な要因が多く、一つの原因に絞れないものも多いため、ざっくりという前提で分類しています。

さて、このように歴史を見ると、中国の王朝の3分の2は内部腐敗に端を発して滅亡することが分かります。

また最盛期を過ぎた王朝の周辺で強力となった異民族からの外圧による滅亡が50%を超え、民衆による反乱が3分の1で見られます。

 

短命王朝の後に現れる長期王朝

 

共産党の寿命とその崩壊の要因を予測する前に、現在の中国の位置づけをすこし確認しておきたいと思います。

先ほど見たように、中国の主要王朝の平均寿命は146年であり、中国はまだまだ若い段階にあるように見えます。この表を見ると中国の王朝には一つの面白い傾向がある事に気づきます。短命な統一王朝のあとには、長命な王朝が続くことが多いと言う事です。

中国最初の統一王朝である秦は急激な統一政策や厳格な法律運用、万里の長城構築などのために民衆を酷使しため15年で滅びましたが、その後の漢王朝は前漢も後漢も二百年続きました。

久しぶりの統一王朝となった隋は、大運河建設や高句麗の遠征などの負担により反乱が発生し、わずか38年で滅びましたが、その後の唐は、世界王朝として三百年近くも続きました。

建国当初ユーラシア大陸に巨大なネットワークを築いた元も、権力争いによりわずか百年足らずで滅びましたが、それに続いた明と清はそれぞれ三百年近い長命な王朝となりました。

このような歴史サイクルを見ると、短命な統一王朝の後には、何故か長命な政権が続くことが分かります。

清王朝が滅びた後、中国大陸に37年間存在した中華民国を短命政権とみると、その次に現れた中華人民共和国は長期政権となる事が歴史より読み取れます。

 

中華人民共和国の現在のステージは?

 

先ほど、中国王朝崩壊のメカニズムをご紹介しましたが、では現在の中華人民共和国はどのステージにあるのでしょうか?

中国大陸全土を掌握し、比較的長期間継続した王朝を見てみると、建国から60~100年で最盛期を迎えていることが分かります。もちろん、この最盛期の長さはまちまちで、清王朝では1735年から99年に乾隆帝が没するまで、60年にわたり繁栄が続きました。

こうしてみると、1949年に建国した中国は、早ければ建国60年にあたる2009年から、遅くとも建国100年となる2049年に全盛期を迎え、しばらくは維持することになります。2010年に名目GDPで世界第2位となり、2027年頃にアメリカを抜いてGDP世界1位となることが予測されており、これを見る限り、中国の建国期はすでに終わり、現在まさに最盛期を迎えており、しばらくはこの状態が続くと考えられます。

 

中国を崩壊に導くもの

 

さて、ここまでで、中国は現在最盛期を迎えていると考えられる事が分かりましたが、では現在の中国、共産党を崩壊に導くものは何でしょう?

 

過去の主要王朝を滅ぼした半分の理由を占める外圧による戦争は現在では考えにくくなっています。軍事的に中国を脅かす国が出てこない、と言っているわけではなく、現代社会で中国のような大国が亡びるほどの大規模戦争が発生するとは考えにくいからです。もしも発生した場合は第3次世界大戦となり、核による人類が滅亡するような事態になるかもしれません。

 

もっとも可能性が高いのは内部腐敗による崩壊であり、腐敗のまん延や、権力争いにより崩壊する可能性です。前漢や後漢、唐はその典型的な例であり、腐敗と賄賂が蔓延化し、官僚と宦官、外戚が権力争いを行い滅亡しています。元もこの理由により滅亡しています。

実は中華人民共和国はすでに何度か、この脅威にさらされていますその最大のものは文化大革命であり、これは当時の共産党指導部であった劉少奇や鄧小平と没落しかけた毛沢東の権力争いでした。最も激しい時にはもはや内乱としか言えない状況まで悪化しています。また、この中で林彪が毛沢東の暗殺を企てたのも大きな事件の一つでした。

そして、最近では、中国のTOP25まで上り詰めた薄熙来が胡錦涛政権に反旗を翻し、重慶で独立王国を築こうとしたことがありました。鄧小平の改革開放路線の進化を目指す胡錦涛に対して、薄熙来は毛沢東路線への回帰を訴え、民衆を動員して革命歌を歌わせ、毛沢東の肖像画を掲げ、格差是正や平等・公平をアピールし、大変な人気を獲得しました。腹心の亡命未遂がなければ、どのようになっていたか分かりませんでした。

折しも、高度経済成長により格差が拡大するなか、軍隊や省庁までがビジネスを行い、賄賂や腐敗が深刻化して、社会の不満が高まっていた時期でもありました。

この反省を生かして、現在の習近平は、強権的な腐敗撲滅と、国家主席の権力強化を行い、そのおかげで政権は安定していると言われています。

 

滅亡原因の3つ目となる民衆反乱については、秦の滅亡を招いた史上初の農民反乱と呼ばれる陳勝呉広の乱や、明王朝を滅亡させた李自成の乱などが典型例となります。

さすがに現在において農民反乱が発生することはありませんが、バブル崩壊後の日本のように、経済成長が終結を迎えた後の中国で民衆の不満が高まり、民主化運動が起こらないと限りません。現在、中国で政権が安定し、天安門事件のような民主化運動が起きないのは「パンとサーカス」による愚民政策が奏功しているからです。パン、すなわち経済的な繁栄により食うものに困らず、サーカス、すなわち今や世界的に競争力を持つ携帯ゲームやディズニーランド、ユニバーサルなどの娯楽が十分に与えられている状態で、民衆がこれに不満を抱いていないため、激しい民主化運動は起きていません。一方、言論と人権と自由は奪われています。

しかし、このパンとサーカスの供給が途絶えたとき、民衆の反乱がおこるかもしれません。中国は一人っ子政策により、現在、急激な少子高齢化といびつな男女比による結婚できない男性が社会問題化しています。現在中国は全盛期を迎えていると考えられますが、この少子高齢化により衰退期が思ったよりも早く来る可能性もあります。

また、民衆の反乱という意味では、中国はチベット・ウイグル・香港、そして台湾の独立問題を抱えており、これが一つでも爆発すると、全国に波及する可能性もあります。

 

まとめ

 

さて、ここまでの話をまとめると、現在の共産党一党独裁体制の中国は歴史を見る限り、長期政権となることが予測され、日本や欧米で期待交じりに言われるように、すぐに崩壊するとは考えられないことが分かります。最低でも、主要13王朝の平均年数である146年まで、あと70年ほどは存続する可能性が高いと考えられます。崩壊する時は最も可能性が高いのは内部崩壊、次に民衆反乱でしょう。

歴史を見ると、中国は全盛期にはすべてが上手くいき、世界でもNO.1となる繁栄を築きますが、一度ほころびが生じると転落は止められず、すべてが悪い方向に回るという特徴があります。

現在の中国は、共産党一党独裁で言論の自由はありません。しかし、一党独裁ゆえに政策のスピードと実行力が高く、現在はこれが良いサイクルとなっているため、誰も文句を言いませんたとえば、中国はネットでの言論規制や、リアルでの監視カメラによる超監視社会ですが、このおかげで犯罪が大幅に減少し、ものをなくしてもすぐに見つかる、というような良い面もあります。そのため、民衆はおおむね反対をしていません。しかし、AIカメラによる顔認識で、個人の行動は3秒で追跡されると言います。これが悪いサイクルに入ったときにどうなるか、そこが問題なのです。

以上、歴史から学ぶ共産党の寿命でした。

 

 

 



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