さて、前回に引き続き、今回は核心部分、三国志にみられる主要な策略についてまとめていきたい。この策略をいかに企業経営に活かしていくか、これが大切な部分である。
さて、当然であるが企業経営に三国志を活かすためには、まず三国志の策略を知らなければいけない。三国志には数十の策略がでてくるようであるが、今回は、あらためて、主要な策略のみを一覧にまとめてみた。
三国志の主要な策略
兵は神速を尊ぶ | 戦争は一瞬の遅れが運命を左右するものだから、速く攻撃することが最も重要である。『三国志・魏書・郭嘉伝』にあることば |
苦肉の計 | 自分が傷ついてみせて相手を欺き信用させる |
贋書の計 | 偽物の手紙を送り、敵の有能な部下を寝返りさせる |
十面埋伏の計 | 四方八方に伏兵を置いて敵を殲滅させる |
天下三分の計 | 天下を鼎の形に三分した上で他の二国を戦わせ、疲弊したのを見計らって天下を取る |
二虎競食の計 | 二匹の飢えた虎の間にエサを投げ与えて争わせる。一匹は倒れ、勝った一匹も満身傷だらけになれば、自らは苦労少なくして勝利できる |
駆虎呑狼の計 | 虎の穴を留守にさせ、この隙に狼に虎の穴を狙わせる |
穴を掘って虎を待つ | 囮(おとり)の城を残し、本体が別方向の敵を攻撃するように装う策略。囮を攻撃中の敵を、迂回した本体が側面から襲う |
離間の計 | 敵方に撹乱情報を流すことで、証拠を残さず敵を疑心暗鬼で仲間割れさせ力を削ぐ |
美女連環の計 | 「兵法美人の計」と「離間の計」の組み合わせ。前者は、美人を献上し、色仕掛けを用いて敵の戦意を喪失させ、敵の弱ったところを叩く策 |
空城の計 | あえて自分の陣地に敵を招き入れることで敵の警戒心を誘う計略。敵方に見破られた場合は全滅の危険性があり、心理戦の一種である |
三国志を詳細に分析すると、孫氏の兵法・三十六計の様々な計略が使われているのが分かるわけであるが、すべては書ききれないため、個人的な視点で、あくまでも主要なもののみに絞ってみた。有名なところでは、赤壁の戦いで呉の国で活用された苦肉の計や、諸葛孔明の天下三分の計、貂蝉による美女連環の計などが特に馴染みが深いところである。
このような策略がはたして企業経営に役に立つのか?よくよく検討してみると、現代の国際ビジネスルール上、適合しにくいものもある。しかしながら、現在中国のビジネスにおいて上記のような三国志に出てくる策略は、意識してか無意識かは別にして、よく使われれているのも間違いない。中国人経営者であれば、上記のような策略は自然と頭に浮かぶはずであり、これを良く知っておくことは必須である。
次回はこれらの、良い点と悪い点について超個人的な視点でまとめてみたいと思う。
つづく