中国で50~60年代に流行した連環画(子供向けの絵物語)の西遊記の一節「大暴れ孫悟空(原題:大闹天宫、大鬧天宮)」です。日本で有名な三蔵法師と出会う前の孫悟空の天界での大騒動を描いた物語。日本では有名ではありませんが、中国人なら誰でも知っているエピソードです。言葉遣いも平易で、中身も面白く、絵も素晴らしいので大人でも楽しめる内容になっています。無料の西遊記の漫画(マンガ)と思って気楽に読みましょう。
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(26)哪吒が負けて帰ると、天王は驚いた。哪吒は「父上、心配しないでください、数日傷をいやしたら彼と決着をつけます」と言った。天王は頭を振るだけだった。哪吒は「この妖猿は”斉天大聖”と名乗っているので、もしも彼を負かすことが出来なければ、天帝に進言して彼を本当に”斉天大聖”に任命してしまっては?」と言った。天王は「息子よ、休みなさい。父に考えがある」と言った。
(27)天王は大敗して天にもえどり、玉皇大帝に奏上した。金星はまた策を提案して「また彼を騙して、彼を有名無実な職に任命して、実権を与えなければよい」と言った。玉皇はどうしようもなく、力なく頭を振り、大きなため息をついた。
(28)金星はまた花果山にやって来ると、恭しく孫悟空に会った。彼は「李天王親子は情勢を読まず余計なことをして恥をかいた」と言った。猴王を斉天大聖に任命しようとしてもその他の神々が納得しなかったが、今回の活躍を見て、玉皇がやっと認めたと言った。
(29)孫悟空は金星の話を聞くと、怒っていたのも忘れて思わず喜んだ。感謝して「では行こうか」と言った。金星を引っ張って、筋斗雲に乗って南天門に向かった。
(30)斉天大聖の公邸は蟠桃園の傍らに設けられ、とても壮観であった。孫悟空は任についたが特にやることもなく、毎日暇で酒を飲んで、何日もしないうちに、天上で多くの友達ができた。
(31)ある人が玉皇にこっそりと「孫悟空は形だけの斉天大聖をやって、友人と遊んでいるだけですが、暇だと悪いことをするかもしれませんので、どうせなら少しくらい仕事をさせたほうが良い」と奏上した。玉皇はすぐに孫悟空を呼んで、彼に蟠桃園の管理を命じた。
(32)孫悟空はとても喜んで、すぐに園に行って蟠桃を調べた。蟠桃は全部で3600株あり、最初の1200株は3千年に1回身がなり、人が食べると体が健康になる。真ん中の1200株は6千年に1回身がなり、人が食べると不老長寿となる。最後の1200株は9千年に1回身がなり、人が食べると仙人や仏となり、天地と同じ年齢となる。
(33)この時、まさに桃は熟れ、園は良い香りで一杯となっていた。孫悟空は思わず官服を脱いで、木の上の上り、桃を取って食べた。満腹になると、2寸ほどの小ささになって、葉の上で寝てしまった。
(34)王母(中国の伝説中の女神)が蟠桃の宴会を行うため、7人の仙女に園に行って桃を取るように命じた。7人の仙女は孫悟空を探すことができず、自分たちで取ることにした。孫悟空は驚いて、すごい勢いで気から飛び降りて、通常の大きさになり、如意棒をもって「どこの泥棒だ、この孫悟空の桃を盗もうなんて」と叫んだ。
(35)7人の仙女は驚いて一斉に跪いた。一人が勇気を振り絞って「大聖、お待ちください。我々は桃を盗もうとしたのではありません。王母が蟠桃の宴会を行うため、我々に桃を取ってくるように言ったのです。大聖を探したのですが見つけることができず、やむを得ず自ら取ったのです。大変すいません、どうぞお許しください」と言った。
(36)孫悟空は蟠桃の宴会を行うと聞いて、仙女たちに立つように言い「その蟠桃の宴会には誰が招待されているんだ?この孫悟空は招待されているのか?」と尋ねた。仙女たちは次々に名前を言ったが、孫悟空の名前は無かった。孫悟空は我慢できず「この孫悟空はいったい招待されているのか?」と聞いた。仙女たちは「聞いておりません」と直接答えざるを得なかった。
(37)孫悟空はこれを聞くと怒って「そういう事か、ちょっと待っていろ。問いただしてくる」というと、まじないをして、指で7人の仙女たちを指すと「止まってろ」と3回叫んだ。すると、7人の仙女はその場所で、石造のように動くことが出来なくなった。
(38)孫悟空は瑶池にやってきて、王母を探して話を聞こうとした。しかし、そこには仙酒と仙肴があるも、誰もおらず、細かいことは忘れて、飲み食いし始めた。心の中では、招待されていなくても、とりあえず食べてから言えば良い、と思った。
(39)孫悟空は食べて酔っ払い、公邸に戻って寝ようと思った。しかし、道を間違って、太上老君(道教の老子が神聖化したもので、道教では最高神の一人。霊薬作りをしている錬丹術の大家)の兜率天宮に来てしまった。中に入っていくと、誰もおらず、老君の錬丹炉が火にかかっており、その近くには5個の瓢箪があった。孫悟空は瓢箪をあけると、中の金丹を食べてしまった。
(40)金丹を食べると、孫悟空は正気に戻り、大変なことをしてしまった事に気づいた。心の中では、玉皇のじじいに知られたらまた説教されると思い、花果山に戻った方がましだと思った。そこで、兜率天宮を出て、西天門を出て、筋斗雲に乗って去ってしまった。
(41)孫悟空が花果山に戻ると、猿たちは酒をもって歓迎した。彼が天上の仙酒、仙肴を褒めちぎるのを聞いて、猿たちはとても羨ましがった。孫悟空は「食べたいなら、俺様が取ってこよう」と言った。
(42)孫悟空は洞窟から出ると、すぐに見えなくなってしまったが、たくさんの仙酒と仙肴を持って帰ってきて、猿たちと”仙酒会”を行った。
(43)あの7人の仙女たちは孫悟空に動きを止められ、1日1晩たってやっと動く事ができるようになった。彼女たちは瑶池まで戻り、王母に報告しようとすると、王母は「報告は必要ありません。にくたらしい妖猴め。すでに知っています。私と一緒に玉帝のところに行き、処罰してもらいましょう」と言った。
(44)王母は7人の仙女を連れて玉皇に報告に向かうと、太上老君がすでにそこに居た。二人は妖猴が非常に悩ましいとして、厳しく処罰して、天の正しさを示すべきだと要求した。
(45)玉皇は4大天王と托塔李天王親子とすべての天将を派遣し、10万の天兵が、18の包囲の網を巡らして、花果山に孫悟空を捕まえに行った。天兵が花果山に着くと、水も漏らさぬほど厳重に包囲した。
(46)李天王はまず先に九曜悪星に出陣を命じた。この九曜は天上の9人の悪神で、それぞれが凶悪な形相で、全身に殺気を纏い、水簾洞の前に戦いに来た。
(47)門番の猿が孫悟空に報告した。孫悟空は猿たちと酒を飲んでいたが「無視しておけ。我々が酒を飲み終わって、俺様が酔っ払って、お腹がいっぱいになったら相手をしてやる」と言った。
(48)小猿はまた、九人の凶神たちが洞窟の門に入って、口々に罵っていると報告した。悟空は怒って「この無礼、大胆なやろうどもだ!この俺様が譲ってやったのに、見くびりやがって」と言うと、如意棒を取り出して振り回すと、戦うために出て行った。
(49)孫悟空は如意棒一つで9人の凶神を止め、戦えば戦うほど勇壮に、そして強くなった。100回ほど斬り合うと、9人の凶神は徐々に抗しきれなくなり、1人づつ敗退していった。
(50)托塔李天王は天兵を引き連れ一斉に参戦し、孫悟空を取り囲んだ。孫悟空は一つかみの髪を抜くと、口の中に入れて噛み砕き、吐き出すと「変化」と叫んだ。すると、1000人の斉天大聖に変化し、それぞれが如意棒で戦い、天兵と天将たちは大敗して撤退した。
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