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【書評】『潜入中国 厳戒現場に迫った特派員の2000日』(峯村 健司)

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まるで小説のようなノンフィクションのお話という感じで、読んでいてなかなか面白い内容。難しい内容ではなく、空き時間にささっと読めるので、中国監視社会の実態を知りたい方は読むことをお勧めする。ちなみに、私、この作者の方とはどこかでお会いしたことがあるようで、名刺をもっていましたがどこで会ったのかまるで思い出せません・・・。

 

内容紹介

 

超大国アメリカを猛追し、国際秩序を塗り替えようとする中国。その足元では何が起きていたのか?もう二度と入れないかもしれない「核心の地」から朝日新聞の特派員が“体を張った”渾身のルポ。

●国産初の空母建造の地「空母島」、新型ステルス機飛行実験、世界を脅かすサイバー攻撃の拠点、宇宙開発、女性スパイによる「ハニートラップ」の最前線、禁断の北朝鮮国境での密輸現場、中国商人の情報網……。

●2007年以降、31の省、自治区、直轄市のほぼ全てに足を運び、二十数回にわたる中国当局の拘束、長時間にわたる尋問を受けながらも数々の厳戒現場に潜入した特派員が監視の目をかいくぐって見た軍や党の実態とは何か?

(Amazonより)

 

著者紹介

 

朝日新聞国際報道部記者。1997年入社。中国総局員(北京勤務)、ハーバード大学フェアバンクセンター中国研究所客員研究員などを経て、アメリカ総局員(ワシントン勤務)。優れた報道で国際理解に貢献したジャーナリストに贈られるボーン・上田記念国際記者賞受賞(2010年度)。

 

乾燥

 

2011年に成都で中国軍が開発を進めていた次世代ステルス戦闘機「殲20」の撮影に成功し、世界に先駆けてその姿を報じた際の、国家安全省の捜査官とのやり取りはまさにスパイ映画のようである。

 

「あなたの英語は流暢だ。どこに留学したのか。五角大楼(中国語で「ペンタゴン=国防総省」)を指す」に友人は何人いるのか」

 

などと緊迫したやり取りを行った末に、反省文(誓約書?)のようなものを書いてなんとか釈放され、北京行きの飛行機に乗りやっと安心できた、と書かれている。中国の言論統制や監視社会については何となく分かっているが、我々一般人はフェイスブックやツイッターが見られない以外の不都合を普段感じることはないが、このような話を聞くとリアルに実感できる。

 

また、2004年に女性問題で中国のスパイから脅されて情報漏洩を強制されていた上海領事館の40台男性領事の話や、中国初の空母「遼寧」の話、また北朝鮮と中国の国境の話、中国軍の腐敗の話などは読んでいてなかなか面白い。

 

経済的に発展して中国の良い面ばかりに目が行きがちであるが、中国はこのような側面をいまだに併せ持っているという事実はしっかりと認識しておいたほうが良いだろう。

 

そして、筆者が最後に言っているように、ここ数年の中国は、監視カメラとAIや顔認識、ビッグデータを活用した監視技術の飛躍的向上に合わせて、スマホ決済の爆発的な普及により、個人の移動がほぼリアルタイムに把握されるようになってしまっている。そのため、中国における取材活動は、記者がカンと張り込みでスクープをあげるような時代ではなくなりつつあるようである。

 

我々一般人は別に何も中国の法律に触れるようなことをするわけではないが、自由主義、民主主義、個人の尊重を価値観の中心に据えた社会で育ったものとして、このような中国の側面を留意しておくべきであろう。

 

そういう意味では、中国の現在のデジタル監視社会を再認識する上でも一度読んでみることをお勧めする。

 

 



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