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漫画でわかる中国語連環画『関聖帝君』04 日本語翻訳(関羽が神となる物語)

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中国で50~60年代に流行した連環画(子供向けの絵物語、中国式の漫画)から、三国志の関羽が神格化された物語「関聖帝君(原題:关圣帝君)」をご紹介。219年の樊城の戦いで、志半ばに倒れた関羽であるが、非業の死を遂げた人物には強い霊力が宿ると言われており(日本でも菅原道真とかの例があり)、関羽も死後長い時を経て商売の神としてあがめられるようになった。この連環画にはその過程が描かれており非常に興味深いので、関羽ファンは読んでみることをお勧めする。

 

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漫画でわかる中国語連環画『関聖帝君』03 日本語翻訳(関羽が神となる物語)

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(61)智顗(ちぎ)法師は驚き、体を起こして振り返ってみると、関羽が頭をあげて胸を張り、両手で蒼天を指してまさに悲しみ泣いていた。智顗(ちぎ)法師は大変怒り「将軍が殺した人は少なかったか?彼らは誰かに頭を返せなどと言っているか?」と一喝した。

(62)関羽はこれを聞くと、振り返った。智顗(ちぎ)法師は彼をそばに座らせて、我慢強く彼に「世間は因果応報でできており、縁はすべて天命なのだ。将軍も天命を受け入れなさい」と諭した。数日間の説教により、関羽は多くの仏門の道理を理解した。

(63)ある日、関羽と智顗(ちぎ)法師が世間の因果を深く議論していると、突然一陣の風が吹いてきた。風に乗って、悲哀のこもった「頭はどこだ?」「頭はどこだ?」という声が聞こえた。

(64)智顗(ちぎ)法師はこれを聞くと、関羽に「また首と体が別々になった霊魂がいるようだ。早く言って悟らせてやろう」と言った。関羽はうなずき、智顗(ちぎ)法師をつかんで雲に乗せ四川の忠州(今の重慶市忠県)に向かった。

(65)忠州城の上空にやってくると、巴曼子将軍が威風堂々と城の上に立っているのが見えた。二人は急いで彼の前に行き「将軍何を悩んでいるのです?そんなに怒って」と言った。

(66)巴曼子はお辞儀して礼をし「拙者は曼子で、巴国(周の時代の諸侯国)の将軍でした。巴国で内乱があり、三つの城と引き換えに、楚国に救援を求めざるを得ませんでした。すぐに、楚国が兵を出し、巴国の内乱は収まりました」と答えた。

(67)「その後、楚国は約束に基づいて、使者を派遣して城を要求してきました。城を差し出せば、私は国と民衆に不忠となってしまう。城を差し出さなければ、楚王に対して信義を失う。忠義と誠信のため、私は臨江城で自刎し、使者に私の頭を持たせて帰らせたのです」

(68)「楚王は拙者の忠と勇に感激し、私の頭を楚の地に手厚く弔いました。また、私の体は巴国の国王により、巴国の首都(今の重慶の渝中区の蓮花池)に手厚く葬られました。このように、私の体と頭は別々となり、安らかになれないのです」

(69)智顗(ちぎ)法師はこれを聞くと、前に進み出て巴曼子に対して「良きかな、良きかな、二人の忠義の士が、忠義の地に集まった。人々は将軍の忠義を崇めるため、この城の名前をすでに忠州と変えており、さらに千年後、この地に石の砦を立てて、曼子将軍の功績を称えることになるだろう」と言った。

(70)その後、智顗(ちぎ)法師は関羽の方に向かって「その時、この石の法殿の中には、関羽将軍の像も飾られて、関聖大帝と呼ばれることになる。二人の将軍は毎日お互いに支えあい、一緒に世間の幸福を守るのだ」と笑いながら告げた。(今の忠県の石の法殿にも関羽像がある)

(71)二人の将軍はこれを聞くと、思わず大笑いした。智顗(ちぎ)法師ははまた巴曼子に対して「あなたはここにとどまって、あなたの故郷をしっかり守護しないさい。数百年後、人々は貴方のために廟も立てるだろう。それでは、私と関羽将軍はこれで行きます」と言った。

(72)巴曼子は恭しく智顗(ちぎ)法師と関羽を見送って以後、安心して忠州城外に留まり、自分の子孫たちを保護し、二度と怒って頭を探すようなことはしなくなった。

(73)関羽は玉泉山上に戻ると、何度も思考して、智顗(ちぎ)法師に仏門に帰依したいと求めた。智顗(ちぎ)法師は大変喜び、すぐに香を焚いてお釈迦様に祈祷した。するとしばらくして、天に彩雲が表れて、観世音菩薩がゆっくりと降臨してきた。

(74)観世音菩薩が地面に到着すると、すぐに彼らにお釈迦様のご意向を伝えて「関羽将軍の忠と勇は素晴らしく、天より高く、仏法を守るものとして十分である。貴方を伽藍神に任命するので、韋陀将軍と一緒に仏法を守るように」と告げた。関羽は跪き、これを拝命した。

(75)菩薩はまた関羽をじっと見て、笑いながら「将軍は私を覚えていますか?」と言うと、関羽は体を起こして笑いながら「覚えています。覚えています。あの時、私の顔を変化させて、逃げられるようにしてくれた菩薩様ですね」と言った。

(76)菩薩は笑いながら「生も死も天命があり、すべては定まっているものなのです。貴方もこの玉泉山で何百年もとどまっており、そろそろ天に帰るべき時です、玉帝も貴方をまっていますよ」と伝えた。関羽はこれを聞くと、すぐに自分の息子関興、勇士周倉や諸将の魂を菩薩に引き合わせた。

(77)観世音菩薩はこれら多数の忠誠心のある魂を見て、思わず大いに笑いながら「あなた達の世俗での因縁はすでに解決した。すぐに関羽将軍と一緒に霊霄宝殿に行き、玉皇大帝の褒賞を待つが良い」と言うと、みな伏して感謝した。

(78)その後、観世音菩薩はまた智顗(ちぎ)法師に対して「法師はこの山に留まって寺を建てて、仏法の布教に努めては?」と告げると、智顗(ちぎ)法師はなんども頷いた。菩薩は再度皆に手を振ると、雲にのって去っていった。

(79)智顗(ちぎ)法師は関羽の教えの元、風水の良い場所を探し出した。当地の民衆も関羽の恩徳に感謝しており、次々に寄付して、素晴らしい玉泉寺を建て、寺の中で”関羽”伽藍神を祀った。智顗(ちぎ)法師も毎日ここで説法し、仏教を大いに布教した。

(80)関羽は寺が立ち、線香が盛大に焚かれているのを見ると、とても喜んだ。彼は皆の魂を連れて智顗(ちぎ)法師に別れを告げ、当陽の玉泉山を離れた。一路、雲と霧を操り、皆に取り囲まれながら南天門に向かったのであった。

 

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漫画でわかる中国語連環画『関聖帝君』05 日本語翻訳 関羽が神となる物語

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