皆さんは四合院を知っているだろうか?おそらく一度は見たことがあるだろうが、名前を知らないだけ、という方もいるかもしれない。中国北方の伝統建築であるが、非常に趣があり、私は四合院が大好きである。今回は、その四合院の魅力をお届けしたい。
四合院とは何か?
四合院は中国古来の特徴的な建築様式であり、少なくとも3千年の歴史があり、古来から漢民族の貴族が住んでいたとされる。地域としては主に華北地方で発展した建築様式である。
建築上の特徴は、東西南北の四面を部屋で囲んで中庭を作る”口”のような形を形成していることである。特に北京では今でも多く見かけるが、マンションが主流の北京では、現在では四合院のような建築はプレミアムがついて大変高値で売買が行われている。四合院をレストランやホテルに改造していることも多い。
特徴的な中庭には、木や花を植えて、金魚鉢を置き、ここで住人は休憩したり、納涼したり、場合によっては洗濯などの家事も行う。中庭は彩光や通風にも効果的である。京都の箱庭も彩光に最適であるが、四合院もまったく同じである。
四合院の種類
四合院のもっとも基本的なスタイルは”口”であるが、豪華になると中庭が2つ、3つと増えていく。中庭が2つになると”日”型、3つになると”目”型になる。
“口”字形のものを”一进院落”
“日”字形のものを”二进院落”
“目”字形のものを”三进院落”
という。なお、もちろんもっと大きなものがあったのであるが、明清の時代には、民間ではこの"目形"がもっとも一般的であったようである。
四合院の入り口の謎?
さて、これまで紹介してきた図を見ていて何か不思議なところはないだろうか?そう、多くの四合院では、入さてり口は東南に設けられる。これはどうしてであろうか?
まあ、なんとなくわかるかもしれないが、この答えは一番最後に掲載しておく。ぜひ最後まで読み進めてほしい。
目隠し壁(中国語:影壁)の意味とこだわり
入口を入ると目隠しとなる壁がある。これは、門を開けていても中の様子がわからないようにする目隠しの意味もあるが、竜などの彫刻を配して邪気が家の中に入り込まないようにする意味もある。独立している壁もあれば、家の壁と一体となっているものもある。非常にきれいな彫刻が施してあり、まさに家の顔ともいえる場所となる。
この壁は四合院の見どころの一つでもあるので、ただ通り過ぎるのではなく、ぜひしっかりと鑑賞したいポイントである。
四合院の各部屋の使い方
中央の最も良い場所にあるのが”正房(母屋)”で、ここには家の主人が住む。通常、3~5部屋あり、南向きで冬はあったかく、夏は涼しい作りになっていることが多い。なお、房は部屋の意味。
”東廂房”は一般的に子供(男子)が住み、”西廂房”には子供(女子)が住んでいたとされる。廂はあまりなじみのない感じであるが、日本語で”ひさし”と読む。母屋とは渡り廊下でつながっている場合が多く、まあ日本語に無理やり訳すると離れ母屋という感じであろうか。
倒座房は倉庫として使ったり奉公人などが住んでいた。後罩房は住居の最も後ろ側にあり、女中や女性の子供などもここに住むことがあった。
入り口は何故、東南にあったのか?回答編
皆さんお察しの通り、風水の問題で入り口は東南に配置されていた。Dr.コパ先生によると、東南は、
「結婚」「恋愛」の運気を持つ方位です。「娘は東南の風にあてろ」と風水では言います。これは「東南から良縁がやってくる」と、考えられているため。女の子の部屋はぜひ東南に作りたいですね。東南は他にも「人間関係」「縁」「信用」など人付き合いを円滑にするために大事な方位です。特に玄関が東南にあると吉、元気に働けます。
とのことである。現在の中国大陸では風水はあまり重要視されないが、昔は風水を大変気にしていた様子がうかがえる。
四合院に泊まりたい場合は?
このあたりのサイトの海外ホテル検索から”四合院”で検索すると沢山、四合院をホテルに改造した宿泊施設が出てくるので、ご自身の予算に合わせてどうぞ。
まとめ
と言うわけで、今回は四合院の主に知識面を掘り下げてみた。冒頭にも書いた通り、四合院は中国風であるだけでなく、中庭があるなど住むにもとても快適そうである。いつかは日本に四合院風の家を建てたい、というのが私の夢であるが、まあ実現は難しそうである・・・。次回は、四合院の写真を中心に見てみたいと考えている。
<この記事の続き>写真で見る四合院
【写真】四合院の実物とイメージ図を見てみよう(寸法付きもあるよ)
前回は主に四合院の知識面を確認してきたが、今回は画像メインで、前回学んだことを確認しながら見ていきたいと思う。最後のほうに寸法図付きのイメージ図も載っているので、お金があれば是非建築して ...
続きを見る