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図解!清朝の裁判と刑罰

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清時代の刑罰といえば、非常に過酷な刑罰ばかりが頭に浮かぶのであるが、裁判・判決の制度はどのようになっていたのかご存じだろうか?拷問に近い取り調べや体罰はもちろんあるものの、実際にはしっかりとした制度が整っていた。今回は、清朝末期にイギリスで紹介された図を用いて、その制度や刑罰の種類をご紹介したい。

 

裁判官の前に跪く犯人 ~ 清朝の裁判の流れ

清朝では、裁判官は毎日、役所で審議を行った。これは昔からの習慣である。中央に座るのが裁判官で、その横に書記、犯人の両横には鎖と棒を持った下級役人がいる。机の上には筆記用具と印鑑、さらに赤い爪楊枝のようなものが置かれる。

 

犯人の罪が軽微なものであれば、裁判官はその場で罪を確定させ、犯人を釈放させる。このような時の罪は大体が棒で叩くというものである。この時に、この爪楊枝のようなものを利用する。爪楊枝1本が5回叩くということを意味するのである。

 

審議の間、犯人はずっと地に跪いて判決を待つ。刑を執行する時は、役人が両側について引っ立てる。裁判が確定した後、たばこを吸いながら茶を飲み、雑談することもある。

 

泥酔しての乱暴や詐欺、喧嘩、窃盗、無礼、上官の命令違反などの小さい犯罪は地方の裁判官がその場で判決する権限を持っている。しかし、重要な案件では、5~6人で裁判団を作り審議する必要があり、事件の詳細を調べるだけでなく、訴え出たものの性格や態度も細かく調べたりした。

 

冤罪を避けるため、死刑の判決には一般的に長い時間がかかった。死刑の実行には皇帝の批准が必要であり、これがなければどのような犯人の死刑も実行することが出来なかった。

 

監獄に収監される犯人。犯人の首には鎖が掛けられ、自ら歩かない場合は、役人が無理やり引っ立てた

 

裁判に向かう犯人。犯人は後ろ手に縛られて、銅鑼を持った役人が、民衆の注目を集めるように前を歩く。犯人の後ろには二人の役人がおり、一人は藤のつるを持ち、犯人が頭を上げているように注意している。また、犯人の頭の両側には赤い小旗をつけ、観衆の注目を集めるようにしている

 

刑罰の種類

 

それでは実際にどのような刑罰があったのか見てみたい。今回紹介するもの以外にも多種多様な刑罰があったという事だけは注記しておく。

 

木で叩く(杖刑)

中国のドラマなどでもよく見る最もポピュラーな刑罰。比較的軽い刑に適応された。犯人を地に寝かせて、一人の役人が押さえつけ、もう一人が木で尻を叩く。一般的には、厚い竹が使用され、横幅は約10センチメートルである。公開の場で執行する場合、数人で変わりながら叩く。習慣によると、叩かれるたびに、受刑者は叩いたものに礼を言わなければならない。

 

耳をつねる

二人の役人が犯人をしっかりとつかまえて刑を執行する。かなり痛いが、これは軽い刑罰として実行される。

 

吊るす

犯人は両肩とくるぶしを縛られ上図のように吊るされる。非常に苦痛があった。一定の時間がたつと、役人は竹を犯人の胸の前に差し込み、このようにすると苦痛は和らいだようである。この吊るしと耳つねりの主要な対象は、商業上の詐欺や税金逃れ、その他の違法な商業にまつわるものであった。

 

顔を叩く

役人の一人が辮髪をもって動けないようにして、もう一人が、皮を2枚張り付けたもので両頬を叩く。

 

足を踏む

犯人の膝関節の上に竹の棒をおいて、役人がその両方に立つ。二人の距離が近ければ犯人の苦痛は増し、離れれば苦痛は和らいだ。

 

足を挟む

このような恐ろしい刑具は世界どこでも使われているが、中国でも取り調べの時に使われることがあった。この刑具はしっかりとした木で出ており、犯人の両手を固定して動けないようにして、もう片方で足を挟む。3つの木の柱でできており、そのうちの二つは動くようになっている。

 

犯人のくるぶしを柱の間に入れて、二人の役人が柱の上を麻縄でしっかり固定する。真ん中に立っている執行人が楔を板の間に打ち込んでいく。上側の距離が開くと、下側がどんどんきつくなって、受刑者のくるぶしを締め上げていく。もしも犯人が罪を認めることを拒否すると、足の骨が折れてしまうこともあった。

 

指を挟む

木を指の間に挟んで、その後、縄で締め上げる。この刑罰は主に不倫をした女性に用いられていた。

 

石灰で目を焼く

石灰を布の袋の中に入れて、犯人の目に押し付ける。

 

鉄の柱に括り付けられた犯人

犯人の首には鉄の円環と、足かせがはめられている。これにより、ある程度動いたり、座ったりすることもできる。上に掛かっている木片には、犯人の名前と罪状が書かれている。

 

木枷(きかせ)をはめる

中国の昔の写真やドラマでもよく見る、犯人に恥辱を与える刑罰である。木でできた重厚な木枷をはめられると犯人は足を見ることもできず、また手も口に届かない。一つの姿勢で長時間休むのも難しい。木枷の重さには様々な種類があり、犯人の罪の重さや体力によって決定される。普通の木枷は20~30キロほどあり、中には50キロ近い重いものもあった。この刑を受けたものは大きな苦痛とともに、恥辱と飢餓、そして休憩できない中で、死亡するものもあった。

 

しかし、この刑の苦しさを軽減する方法もあった。犯人の親族や友人が木枷を支えて苦痛を軽減したりもした。木枷を机の上に置いたり、木の上に置いたりもできた。また図にあるように、特別な椅子を作って木枷を支えたりもした。図の左下にあるお椀と長いレンゲのようなものがないと、食事もできなかった。

 

木枷の上には紙が貼られており、犯人の名前と罪状、そして罰の期限が大きく書かれていた。紙は印鑑で封印されており、木枷を取ったら分かるようになっていた。強盗犯は一般的に3か月の刑に処せられた。また、誹謗中傷や賭博、器物損壊は一般的に数週間、また借金を返せないものは、返済するまで木枷をはめられることもあった。

 

期限が来て、木枷を外す場合には、必ず役人が立ち会わなければいけなかった。また、この時、数回、木で叩かれることもあり、順法を戒めたのち、やっと釈放された。

 

木の檻に入れる

木の檻に入れられている犯人の首と足は鎖でつながれている。犯人を移動させるときに利用されることもあった。

 

竹の棒で括り付ける

犯人の身長とほぼ同じ長さの竹を用いて括り付ける。このようにすることにより、移動が不自由になり、苦痛が増す。

 

足の筋を切る

犯人が逃亡を図った際にこのような刑が処された。近くの桶の中には止血の薬が入っている。清時代末期にはこのような刑は少なくなっていた。自由を求めるのは人間の摂理であり、この刑は厳しすぎると認識されていた。

 

自由を制限する

木のベッドの上に、足と首を結び、両手も鎖でつながれており、自由に動くことはできない。

 

流刑

役人の監視のもと流刑地に向かう犯人。持っているのはゴザと雨除けのアブラヤシの葉のみ。背中には氏名と罪状が書かれている。流刑は、年長者を叩いたものや借金を返せなくなった博徒、地元に住み続けることが適当でない犯人に適用された。刑期が終わると、元の場所に戻ることが許されたが、満州族発祥の東北地方に流されたものは一生戻ることが許されなかった。

 

絞首刑

中国でもっとも多かった死刑は絞首刑と斬首であるが、一番は絞首刑である。2級の重罪に適用された。故意の殺人、過失殺人、政府への詐欺、既婚・未婚女性との姦淫、両親への侮辱、陵墓の盗掘、凶器を使った強盗、華美な宝石を身に着けるなど。

 

犯人は十字架に縛り付けられ、首に縄を掛けられ、強壮な執行者が縄を引いて執行した。清朝の役人など身分が高い人にこの刑が執行される場合、皇帝から恩賜の黄色い綾織りが送られ、これを用いて自殺した。

 

斬首

斬首はもっとも恥辱に満ちた刑罰であり、政府が極めて重大だと認定する罪に適応された。両親に危害を加えたり、倫理に反する罪、反逆、暗殺、皇帝や皇室の安全にかかわるあらゆる罪などに適応された。

 

犯人を跪かせ、辮髪をもって頭を前に出させて、後ろから犯人を首を切る。斬首はもっとも恥ずべき死に方であり、中国の習慣によると、首と体が別であると、安らかに埋葬することができず、育ててくれた両親に申し訳ない、と考えられている。この罪の場合、清朝の高官であっても、一般の庶民と同様に死刑が執行される。

 

首は切られた後、通常は道の両脇の木に吊るされ、胴体部分は用水路に投げ捨てられる。法律上は斬首の場合、通常の葬式と同じ方法で埋葬する必要がないと認められている。

 

この刑の場合は、皇帝が認めればすぐに執行することができるが、一般的には、犯人はまず収監されて、秋になってから死刑が執行されることになる。多くの場合は、死刑執行の前に、法律に基づいて、恩赦を与えられないかどうか検討する。

 

まとめ

 

昔の刑罰は結構恣意的に運用されているイメージがあるが、意外にそんなことはなく、情状酌量なども結構あったようである。

 

ちなみに、中国の歴史ドラマを見るうえでも、杖刑や木枷、また斬首の文化的な背景などを知っているとより理解が深まるので広く浅く知識を持っておくことをお勧めする。

 

なお、上記に示した以外に、割と知られている残虐な処刑である凌遅刑(りょうちけい)については、以下の記事で詳しく説明しているのでご参考まで。

 

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